●目次
序 論 紅い戦争のメモリースケープ──ソ連・東欧・中国・ベトナム………高山陽子
1.紅いノスタルジア
2.紅い戦争と社会主義リアリズム
3.紅い戦争から見えるもの──抑圧された記憶と周縁化された身体
4.紅い戦争の記憶の行方
5.本書の構成
第I部 抑圧された記憶と周縁化された身体
第1章 ロシア・ベラルーシの戦争映画における敵のイメージ
──アレシ・アダモヴィチ原作の映画を中心に………越野 剛
はじめに
1.3つの物語
2.外なる敵─ドイツ兵のイメージの変遷
3.内なる敵と英雄の脱神話化──コラボレーターとパルチザン
おわりに
第2章 封印された戦争の記憶──ベトナムにおける中越戦争の記憶………今井昭夫
はじめに
1.食い違う中越戦争像
2.プロパガンダ合戦から語られぬ戦争へ
3.状況の変化──南シナ海情勢の緊迫化
4.小説『わたしと彼ら』における中越戦争
おわりに
第3章 ソヴィエト・ロシアのプロパガンダにおける女性図像と象徴性
──社会主義国家の建設から総力戦体制へ………前田しほ
はじめに
1.プロパガンダポスターのジェンダー秩序
2.家族の再定義と女性像の象徴性
3.総力戦体制とプロパガンダ
おわりに
第4章 「救国の妓女」を描く中国映画──社会主義文化における女性の身体と国家の想像
………………田村容子
はじめに
1.日中戦争期における「救国の妓女」
2.対抗的な表象
3.「救国の妓女」の空白期
4.『南京!南京!』と『金陵十三釵』に見る「救国の妓女」
おわりに
第II部 紅い戦争の記憶の行方
第5章 紅い刑事ドラマとチェコスロヴァキアの社会主義──テレビによる同時代史の構築
………………福田 宏
はじめに
1.「正常化」時代におけるテレビドラマの重要性
2.1950年代の描き方:宿敵ブラーハ中尉との戦い
3.1960年代の描き方:より高度な謀略と集団ヒステリー
おわりに
第6章 中国における紅い英雄──メモリースケープとしての烈士陵園の分析を通して
………………高山陽子
はじめに
1.武装蜂起と烈士の称号
2.烈士のイメージ
3.社会主義文化における烈士
4.烈士の再定義
おわりに
第7章 記憶の展示──パノラマ・ジオラマによるメモリースケープ………向後恵里子
はじめに
1.パノラマ・ジオラマによる記憶の展示と「見る」体験
2.パノラマ・ジオラマの展開と社会主義リアリズム
3.戦争のリアリティ
4.傷つく人びとの表象
おわりに──記憶と歴史の往還、「再演」をめぐって
第8章 記念碑の存在論──ポスト・ソヴィエト・ロシアのメモリースケープを望んで
………………平松潤奈
1.動く記念碑
2.記憶レジームと記念碑
3.テロルと戦争──ポスト・ソヴィエト・ロシアの二つの記憶
4.社会主義リアリズム文化における記念碑の存在論
5.不死の連隊──ゾンビのポスト・ソヴィエト・ランドスケープ
あとがき
事項索引
人名索引
●著者紹介
越野 剛(コシノ ゴウ)
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター共同研究員
専門:ロシア文学
高山 陽子(タカヤマ ヨウコ)
亜細亜大学国際関係学部教授
専門:文化人類学
今井 昭夫(イマイ アキオ)
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授
専門:東南アジア地域研究
前田 しほ(マエダ シホ)
島根大学学術研究院人文社会科学系准教授
専門:ロシア文学
田村 容子(タムラ ヨウコ)
金城学院大学文学部教授
専門:中国文学・演劇
福田 宏(フクダ ヒロシ)
成城大学法学部准教授
専門:国際関係論・中央ヨーロッパ地域研究
向後 恵里子(コウゴ エリコ)
明星大学人文学部准教授
専門:美術史・視覚文化論
平松 潤奈(ヒラマツ ジュンナ)
金沢大学国際基幹教育院准教授
専門:ロシア文学