●目次
まえがき
序 章 北西ユーラシア歴史空間の射程……………………………………………………小澤 実
一 北西ユーラシア歴史空間とは
二 越境研究と境域の史料
三 本書の構成
第一部 異文化集団との接触(9世紀から14世紀)
第一章 《総論》統一国家成立までのロシア………………………………………………宮野 裕
一 国家形成前夜の東スラヴ地域
二 キエフ・ルーシの成立と発展における開放性
三 キエフ・ルーシの解体と近隣諸国
四 モンゴル支配下のルーシ
五 モスクワの台頭
読書案内
第二章 アラビア語史料に記録された北西ユーラシア世界………………………………家島彦一
――とくにイブン・ファドラーン『報告書』による――
一 北西ユーラシア世界のダイナミズム
二 北西ユーラシア世界に関するアラビア語史料
三 イブン・ファドラーン『報告書』に記録された北西ユーラシア世界
四 『報告書』研究の可能性
第三章 キエフ・ルーシ形成期の北西ユーラシア世界とスカンディナヴィア…………小澤 実
――ルーン石碑の検討を中心に――
一 ヴァイキング世界の拡大とキエフ・ルーシ
二 ルーシのエスニシティ生成をめぐる視座
三 ルーン石碑と「東方」
四 スカンディナヴィア人にとっての北西ユーラシア
五 北西ユーラシア境域論の可能性
第四章 ロシア/ビザンツ緩衝地帯の蛮族観について……………………………………草生久嗣
――12世紀ビザンツ史書におけるペチェネーグを題材に――
一 ビザンツの歴史叙述
二 ビザンツ帝国のロシア観
三 ペチェネーグとビザンツ帝国
四 ペチェネーグの消滅
五 歴史家アンナ・コムネナのペチェネーグ問題
六 ペチェネーグ後の北西ユーラシア
第五章 コンスタンティノープルのストゥディオス修道院とルーシの修道士…………橋川裕之
――正教文化の伝播について――
一 ベロオゼロから
二 ペチェルスキーとストゥディオス
三 一四世紀のルーシとストゥディオス
四 二つの民族と一つの世界
第二部 チンギス裔とオスマン朝からの視線(15世紀から17世紀)
第六章 《総論》「ロシア帝国」への道のり………………………………………………濱本真実
一 草原の支配者としてのロシア
二 「キエフの遺産」の回復、あるいは征服
三 全正教徒の守護者としてのツァーリ――オスマン帝国との対立へ
読書案内
第七章 15世紀ジョチ朝とモスクワの相互認識………………………………川口琢司・長峰博之
――ロシア語訳テュルク語文書を中心に――
一 四通のロシア語訳テュルク語文書
二 第一文書 エディゲイからヴァシーリー・ドミートリエヴィチ大公への書簡
三 第二文書 アフマトからイヴァン・ヴァシーリエヴィチ大公への勅許状または書簡
第三文書 ムルトザからイヴァン・ヴァシーリエヴィチ大公への勅許状または書簡
第四文書 ムルトザからヌルドヴラトへの書簡
四 15世紀ジョチ朝とモスクワの相互認識
第八章 ペルシア語・チャガタイ語諸史料に見えるモンゴル王統系譜とロシア………赤坂恒明
一 中世ロシアとの関係が深いモンゴル諸王統
二 ジョチ裔に関するペルシア語・チャガタイ=テュルク語系譜史料
三 『ムイッズル=アンサーブ』のジョチ裔系譜情報より
四 『勝利の書なる選ばれたる諸史』(『TGNN』)のジョチ裔系譜情報より
五 ロシア系譜書におけるタタール系譜
六 「ハン国」という通説的概念の相対化
第九章 オスマン朝におけるヨーロッパ認識の伝統と革新……………………………小笠原弘幸
――17世紀中葉以前の北西ユーラシア観を中心に――
一 オスマン朝と北西ユーラシア
二 北西ユーラシア地域に関する用語
三 古典的ムスリム地理学の継承と総合――16世紀後半における北西ユーラシア認識
四 古典的見解の克服と新しい知見――17世紀半ばにおける北西ユーラシア認識の展開
五 北西ユーラシア認識の転換
終 章 ロシア近現代史の視点から…………………………………………………………長縄宣博
一 問題発見の場としてのユーラシア
二 その後の北西ユーラシア――ヴォルガ・ウラル地域と右岸ウクライナ
三 ロシア帝国とオスマン帝国
四 ウクライナ危機によせて
人名索引
事項索引
●著者紹介
小澤 実(オザワ ミノル)
所 属:立教大学文学部准教授
専門分野:北欧中世史、西洋中世史
主要著作:『辺境のダイナミズム(ヨーロッパの中世3)』岩波書店、2009年(薩摩秀登・林邦夫と共著)、『アイスランド・グリーンランド・北極を知るための65章』明石書店、2016年(中丸禎子・高橋美野梨と共編著)
長縄 宣博(ナガナワ ノリヒロ)
所 属:北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター准教授
専門分野:中央ユーラシア近現代史 ロシアのイスラーム
主要著作:『越境者たちのユーラシア(シリーズ・ユーラシア地域大国論5)』ミネルヴァ書房、2015年(共編)、Volgo-Uralʼskii region v imperskom prostranstve: XVIII-iXX vv.(Moscow: Vostochnaia Literatura, 2011)(共編)