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書籍詳細




増補改訳 ビキン川のほとりで ― 沿海州ウデヘ人の少年時代
アレクサンドル・カンチュガ著/津曲敏郎訳

判型: A5 並製
頁数: 352
ISBN: 978-4-8329-3385-9
Cコード: C1039
発行日:2014-03-31
定価: 2,420円 (本体価格2,200円+税)

在庫あり
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●本書の特徴

2001年に刊行された『ビキン川のほとりで』(現在品切れ中)の増補改訳版。本書のもとになっているのは,ロシア沿海州の少数民族ウデヘの元教師が,訳者・津曲の勧めで書きためたウデヘ語・ロシア語対訳の自伝原稿である。本来,言語学のテキスト資料として意図したものであるが,極東少数民族の近代の暮しぶりが活きいきと描写されており,読み物としておもしろく,また民族自身による近現代史の証言として,学術的にも他に例を見ないユニークな資料的価値を有している。感受性豊かな少年の目から見た伝統的狩猟採集民としての生活や,ソビエト時代の学校の様子,人々の暮し,そして戦争の影などが,臨場感を込めて語られており,少数民族のライフヒストリーの記録としてきわめて貴重である。ウデヘ人は,黒沢映画で有名な『デルス・ウザーラ』(V. アルセーニエフ著)にも登場する極東少数民族であり,本書のなかにも著者の父がアルセーニエフの探検に同行したというエピソードが含まれている。今回の増補版では,旧版の章立てを再構成して訳文を改訂するとともに,旧版以後の少年から青年へと成長していく過程を第2部として増補する。
●版元から

*『北海道民族学』10号2014年3月書評掲載
●目次

はじめに――ビキン川のほとりの出会い


 第一部 生い立ちの記

1.幼い日の思い出
   一人歩きの記憶 / 中国人の残した菜園 / 小川に落ちる / メタヘザからシャインへ / 兄と
   初めてサケを獲る / サケのたいまつ漁 / サケの処理 / サケの産卵 / 冬の産卵

2.父が語った話
   匪賊から逃れて / ジャンシ・キモンコとの出会い / ハバロフスクへ / アニュイへ / アル
   セーニエフとの出会い / チョウセンニンジンを見つける / 内務人民委員部で働く

3.シャインへ引っ越す
   メタヘザでの暮らし / シャインへの道中 / シャインの住人 / 村のようす / シャインでの
   暮らし / 狩に行く / いたずら盛り

4.父のいない暮らし
   ジーナが生まれて / 父の便りと村の人々 / 皮なめしと靴作り / 春から夏へ / 泳ぎを覚え
   る / 同じ年ごろの子どもたち / 初めての学校 / オレグとその家族 / 母にタバコを見つか
   る / シャーマンの儀式 / 祖先はロシア人? / 馬にあやうく蹴られる / ポーリャの死 / 
   飢えとの戦い / 銃の事故 / 兄の出征 / 馬橇遊び / つらい肉運び / 母の手伝い / お話と
   シャーマン / 初めてのカモ撃ち

5.父が戦地から帰る
   父からの手紙 / 勝利の知らせ / 父の帰りを待つ / 父と子どもたち / エウェンキの爺さん / 
   戦地での話 / 猟の帰りを待つ / 父のいる毎日 / 母を看病する

6.母の語った民話
   タルメニとセレメニ

7.猟の手ほどき
   不猟のお祓い / 弟が生まれる / 父とタイガへ / アナグマをつかまえる / 村に帰って / 
   ミーチャの退学 / ミーチャと猟場へ / 助け合いと親睦 / 日食と隕石 / タバコ検査 / ク
   マの足跡 / シワンタイの祠 / ギョウジャニンニク採り / 手負いグマ

8.父の教え
   クマをしとめる / 魚獲り / オスジカ探し / トラの足跡 / 獲り過ぎた魚 / 父の神頼み / 
   カンチュガの由来 / 夜鳴く鳥

9.森の恵み
   オスジカをしとめる / シカを解体して運ぶ / 帰途につく / たいまつ漁へ / 勇敢なパブリ
   ク / 再び上流へ / 仲間の猟師たち / 魚を塩づけにする / シゴンクの由来 / 子ガモ捕り / 
   お祈り / 突然の大雨

10.父の民話と戦地の話
   ニンジン掘りの若者の話 / 神の恵み / 人助け / スターリングラード攻防戦 / リョーニャ
   に獲物を分ける

11.峠の寄宿舎へ
   ナイフで怪我をする / 急遽帰宅する / 診療所で治療 / バハラザ山 / ゴングラザの気圧計 / 
   地名あれこれ / 初めてのサケ

12.家族と離れて
   寄宿舎に着く / 開校日まで / 寄宿学校での暮らし / 家への思い / つらい家路 / なつか
   しいわが家 / 新年の集い / 算数克服、再びわが家へ / クマとの遭遇 / 原爆について学ぶ / 
   命がけの帰省 / 冬の楽しみ / ミーチャの災難 / 戦争の傷跡 / ミーチャの死

13.ウデヘはどこから来たか?
   長老の語る始祖伝説 / カンチュガの兄弟とロシア人 / 大移動と川の名の由来 / カンチュ
   ガの祖先 / ラ・ペルーズの乗組員? / アルショ爺さんと片目おじさん


 第二部 都会での学校生活

14.野外調査の手伝い
   七年生を終えて / クマへの仕返し / 年長者の知恵 / 転覆の危機 / ナーナイの女 / 大人
   たちの思い出話 / 片目のイトウを刺す

15.ハバロフスクへの旅立ち
   友人たち / 出発を前に / ハバロフスクへの車窓 / 初めて見る都会 / 学校の先生たち / 
   ナーナイのならず者 / 日本人捕虜と将校 / 球技とトレーニング

16.故郷での休暇
   兄ペーチャとの再会 / 弟パヴリクと森へ / 父がトラと出会った話 / 兄ペーチャの病気 / 
   父がトラを撃つ / 手負いのトラをしとめた話 / 村の人々 / ブルーベリー集め

17.母の民話と身の上話
   ソロモとタウシマ / 母の身の上話 / エゾノウワミズザクラ集め / 隣の若奥さん

18.ふたたびハバロフスクへ
   兄にウオッカをとがめられる / 卒業証書を受け取る / ハバロフスクへの車中 / サーカス
   の芸人たち / 映画を見る / 旧友との再会 / 九年生の勉強 / マリノフスキー元帥 / ウデ
   ヘ人として / 読書に目ざめる / スポーツに打ち込む

19.冬休みの帰省
   盗まれた荷物 / 父と偶然に再会 / 遠い家路 / 新年のお祝い / 冬の休暇 / スキー遊び / 
   母の思い出話 / 氷の危険

20.スポーツに明け暮れる
   俳優と歌手 / 母の出産 / いろいろな先生と生徒 / スケート競技 / バレーボール選手に / 
   ボクシングを始める / バスケットボールの試合 / 兄ペーチャの来訪 / リレー競走 / 先輩
   への進言

21.ウデヘの伝統と日常
   亀の卵を集める / ナマズと人肉? / 犬肉とソビエト少佐 / 忘れられるウデヘ語 / 義兄イ
   ワンを倒す / 昔話を書きとめる / ヘルシンキ五輪 / ペーチャと上流へ / 村人たち / 家
   族との日々 / 狩猟中の誤射

22.愉快な仲間たち
   バスケット観戦 / 怪力のナーナイ詩人 / ソフホーズで聞いた小話 / スター選手の観戦

23.あこがれのディナモ初出場
   忘れかけた肉運び / 十年生の勉強とスポーツ / ディナモ競技場デビュー

24.初恋、そして卒業
   スターリンの死 / 初恋 / 卒業試験 / ウスリースクで試合 / アムール川キセル旅


旧版(第一部)への著者あとがき
増補改訳版第二部への著者あとがき
訳者解説――史実と記憶のはざま


●著者紹介

アレクサンドル・アレクサンドロヴィチ・カンチュガ(Александр Александрович Канчуга)
ウデヘ人。1934年11月2日ロシア沿海州ポジャルスキー地区カヤル村生まれ。父アレクサンドル・ペトローヴィチ・カンチュガ(1910-1974),母ニーナ・ガリモヴナ・カンチュガ(1911-1974)。1937年メタヘザ村へ,40年にはシャイン村に転居。43年から53年まで学校に通ったあと,ハバロフスクの師範大学で学ぶ。ロシア語と文学の教師として56年から教職につく。58年,ロシア人女性ファイナ・ニコラエヴナと結婚。59年からクラスヌィ・ヤール村に転居。65年から69年まで通信教育でウスリー国立教育大学文学部を卒業,高等教育学士。69年から81年まで教務部長,81年から90年まで校長を務める。93年,教職を退き,同年から94年までクラスヌィ・ヤール村建設部長として勤務。定年退職後,年金生活に入る。一男一女は独立。妻を2004年に見送ってからは同村で一人暮し。

津曲 敏郎(ツマガリ トシロウ)
1951年福岡県生まれ,北海道に育つ。北海道大学文学部卒業,同大学院修了後,北海道大学助手,小樽商科大学助教授,同教授を経て,現在北海道大学大学院文学研究科教授。専門は北方少数民族言語学,特にツングース諸語の記述的・類型的研究。1988年以来,中国やロシアをフィールドにツングース諸語の現地調査に従事。96年から毎年クラスヌィ・ヤール村を訪れ,著者との親交が続いている。著書・訳書に,『満洲語入門20講』(大学書林,2002年),『北のことばフィールド・ノート―18の言語と文化』(編著,北海道大学図書刊行会,2003年),『ウデヘの二つの昔話』(編訳,かりん舎,2004年)など。

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