●目次
はしがき………林 忠行
序 章 体制転換を理解する――政治比較の視点から………仙石 学・林 忠行
1.体制転換を研究する意義――なぜ今「体制転換研究」なのか
2.体制転換を研究する視点――体制転換の「政治比較」を軸として
3.各章の構成
第1部 制度構築・再編の比較分析
第1章 「歴史の遺産」とその影響――旧東欧諸国における政治発展と制度選択・デモクラシー
………………平田 武
1.移行論から政治発展論へ
2.旧東欧諸国の政治発展と民主化
2.1.第一次世界大戦以前
2.2.戦間期
2.3.第二次世界大戦後
2.4.共産主義体制
3.移行様式と制度選択
3.1.選挙制度
3.2.大統領の権限
4.デモクラシーの固定化と歴史の遺産
第2章 ポスト共産期の東中欧諸国の地方制度改革――広域自治体設置問題をめぐって
………………林 忠行
1.体制転換における広域自治体設置問題の位置
2.東中欧諸国の地方制度改革の概観
2.1.ポーランド
2.2.チェコ
2.3.スロヴァキア
2.4.ハンガリー
3.EUの条件設定
4.政党政治と地方制度改革
5.おわりに
第3章 ソ連共産党中央委員会からロシア大統領府へ――ロシアにおける半大統領制の発展
………………大串 敦
1.旧ソ連諸国の半大統領制と現代ロシアの二頭制
2.ソ連・旧ソ連諸国の大統領制の設立
3.ロシアの大統領制の成立過程
4.ロシア大統領府の組織・機能とロシア官僚制
5.大統領権力の発展の一解釈――エリツィンからプーチン,メドヴェージェフへ
6.むすび
第2部 政党システム形成の比較分析
第4章 政党戦略と政党間競合――東中欧政党システムにおける二極競合化?………中田瑞穂
1.政党システムにおける政党間競合構造
2.チェコ共和国の2006年選挙に見られる政党のリンケージ戦略と政党間競合
2.1.綱領リンケージ戦略と政党間競合
2.2.カリスマ的リーダーシップと政党間競合
2.3.属性帰属意識や政党帰属意識に基づく競争性の低いモード
3.スロヴァキアの2006年選挙に見られる政党のリンケージ戦略と政党間競合
3.1.綱領リンケージをめぐる競合
3.2.カリスマ的リーダーシップをめぐる競合
3.3.属性帰属意識や政党帰属意識に基づく競争性の低いモード
4.チェコとスロヴァキアの2006年選挙に見られる政党間競合構造
4.1.チェコの政党間競合構造
4.2.スロヴァキアの政党間競合構造
5.結 論
第5章 旧ユーゴスラビア諸国の政党システム
――専門家サーベイの結果に基づく政党の「政策位置」の測定………久保慶一
1.政党システムをどう比較するか――政党の政策位置という視座
2.専門家サーベイの方法
3.政党の「政策位置」
4.旧ユーゴ地域全体の「政策空間」と政党ファミリー
5.旧ユーゴ諸国の収斂?――セルビアとモンテネグロの近年の変容
6.おわりに
第6章 政党システムの分岐点
――ロシア,ウクライナにおける政治エリートの連合再編過程の比較分析………溝口修平
1.類似から相違へ――ロシアとウクライナの発展経路の違い
2.1990年代の選挙と政党システム
3.政党システムの変容――「統一ロシア」結成と「オレンジ革命」
3.1.大統領の交代をめぐるエリートの連合再編
3.2.巨大与党の成立と政党間競合の激化
4.結 論
第7章 エストニアとラトヴィアの政党政治比較
――歴史的要因としてのロシア語系住民問題を軸に………小森宏美
1.共通性の中の相違――エストニアとラトヴィアの比較から
2.ロシア語系住民問題の「表出」――ペレストロイカ期から独立回復まで
2.1.エストニアにおけるロシア語系住民をめぐる政治過程
2.2.ラトヴィアにおけるロシア語系住民をめぐる政治過程
3.体制転換後のロシア語系住民の国籍問題と政治参加
3.1.エストニアの国籍法と国籍取得状況
3.2.エストニアにおけるロシア語系政党と政治参加
3.3.ラトヴィアの国籍法と国籍取得状況
3.4.ラトヴィアにおけるロシア語系政党と政治参加
3.5.ロシア語系住民の現状の違い
4.エストニアとラトヴィアの政党政治――選挙と組閣を軸に
4.1.政治的争点の変遷と政党配置
4.2.エストニアにおける選挙と組閣
4.3.ラトヴィアにおける選挙と組閣
5.中道右派政権の継続とロシア語系住民
第3部 比較政治経済の視点から
第8章 東欧における経済的後進性について――ルーマニアおよびブルガリアを例として
………………上垣 彰
1.経済的後進性
1.1.経済的後進性論の意義
1.2.ガーシェンクロン
2.ルーマニアとブルガリアの経済的後進性
2.1.東欧の後進性,バルカンの後進性
2.2.ルーマニアおよびブルガリアにおける「社会主義的工業化」
3.ルーマニアおよびブルガリアにおける市場経済移行と経済的後進性――民営化を例にして
3.1.ルーマニアの民営化
3.2.ブルガリアの民営化
3.3.「後進国型民営化」
4.おわりに
第9章 ポスト社会主義の中東欧諸国における福祉制度の多様性
――あるいは「体制転換研究」と「福祉政治研究」の架橋の試み………仙石 学
1.福祉政治研究と体制転換――福祉政治の理論は中東欧諸国に適用できるか
2.多様な資本主義論と中東欧諸国
3.権力資源論と中東欧諸国
4.多様な資本主義論と権力資源論の接合――分析枠組みの拡張可能性を考える
5.さらなる比較のために
第10章 ロシア財政制度の資本主義化………田畑伸一郎
1.財政制度の資本主義化の課題
1.1.体制転換開始時の課題
1.2.財政の安定化
1.3.資本主義的財政制度の導入
1.4.安定的成長のための財政制度の確立
2.財政の安定化
2.1.ショック療法の適用とその失敗
2.2.1998年までの状況
3.資本主義的財政制度の導入
3.1.歳入構造の変化
3.2.歳出構造の変化
4.安定的成長のための財政制度の確立
4.1.税収の増大
4.2.財政黒字の積み立て
終 章 体制転換研究の意義――研究の成果と残された課題………仙石 学
1.体制転換研究を進めるために――本書の知見から
2.残された課題――あるいは「中東欧と旧ソ連は比較可能か?」
付表 本書で取り上げた国の主要政党一覧表
索 引
執筆者紹介
●著者紹介
仙石 学(センゴク マナブ)
西南学院大学法学部教授
林 忠行(ハヤシ タダユキ)
北海道大学スラブ研究センター教授
平田 武(ヒラタ タケシ)
東北大学大学院法学研究科教授
大串 敦(オオグシ アツシ)
早稲田大学政治経済学術院助教
中田 瑞穂(ナカダ ミズホ)
名古屋大学大学院法学研究科教授
久保 慶一(クボ ケイイチ)
早稲田大学経済学術院准教授
溝口 修平(ミゾグチ シュウヘイ)
東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程在籍
小森 宏美(コモリ ヒロミ)
京都大学地域研究統合情報センター准教授
上垣 彰(ウエガキ アキラ)
西南学院大学経済学部教授
田端 伸一郎(タバタ シンイチロウ)
北海道大学スラブ研究センター教授