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書籍詳細



北海道大学大学院文学研究科研究叢書 17
現代本格ミステリの研究 ― 「後期クイーン的問題」をめぐって
諸岡卓真著

判型: A5 上製
頁数: 254
ISBN: 978-4-8329-6732-8
Cコード: C3095
発行日:2010-03-31
定価: 3,520円 (本体価格3,200円+税)

在庫あり
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●本書の特徴

〈探偵はどんなに論理的に推理を行ったところで、唯一絶対の真実には到達できない〉〈完全な本格ミステリは存在しない〉という「後期クイーン的問題」を軸に個々の作品を分析。新本格からゲームまで現代ミステリの初の本格的研究。 
●目次

序 章 「後期クイーン的問題」をめぐって
 1 ミステリの現在
 2 後期クイーン的問題の見取り図
 3 各章の構成

第1章 多層化する境界線――氷川透『人魚とミノタウロス』論
 1 探偵の死
 2 メタレベルからの保証
 3 メタファーとしてのゲーデル問題
 4 偽の手がかり問題
 5 二重のカタルシス
 6 顔のない死体
 7 それでも行方不明になる真実
 8 THE BORDERLINE CASE

第2章 本格ミステリ殺人事件――麻耶雄嵩『翼ある闇』論
 1 語り手の立場
 2 香月実朝の矛盾
 3 推理の検証――メルカトル鮎の場合
 4 推理の検証――香月実朝の場合
 5 メルカトルを殺したのは誰か
 6 銘探偵の掟

第3章 90年代本格ミステリの延命策
 1 銘探偵のアポリア
 2 二重の回避
 3 新たなロジカル・タイピング
 4 捏造の徴候
 5 行方不明になる真実
 6 ずれていく真実
 7 偽の手がかり問題の回帰
 8 後期クイーン的問題の功罪
第4章 置き去りの推理―― 『逆転裁判』論
 1 1994年の転機
 2 小説/ゲームの本格ミステリ
 3 『逆転裁判』におけるプレイヤーとPC
 4 『逆転裁判』における偽の手がかり問題
 5 置き去りの推理
 6 変 節
 7 千尋の言葉と意外性
 8 再び置き去りの推理
 9 最後の企み
 10 ゆさぶられるのは誰か

第5章 並立の推理―― 『逆転裁判2』論
 1 二つの論証
 2 サイコ・ロック
 3 制限される情報
 4 「僕は誰も殺していない」
 5 並立の推理
 6 宙吊りの決断
 7 正しさ/適切さ

第6章 操りという幻想――西澤保彦『神のロジック 人間のマジック』論
 1 ネタとしての後期クイーン的問題
 2 見えるものが見えない
 3 思い込み
 4 肥大化する操り
 5 異教徒と暴力
 6 完全な操り/操りの自壊
 7 最後の思い込み

第7章 現代本格ミステリのアポリア
 1 操りの時代
 2 探偵の失敗
 3 手がかりの真偽
 4 混乱の原因
 5 空転する論理
 6 偶然と奇跡
 7 現代本格ミステリのアポリア

終 章 本研究の成果と課題


注
引用・参考文献一覧
あとがき
初出一覧
人名索引
事項索引


●著者紹介

諸岡 卓真(モロオカ タクマ)
1977年 福島県生まれ
2008年 北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了
     博士(文学)北海道大学
現 在 北海道大学大学院文学研究科専門研究員,藤女子大学ほか非常勤講師
専 門 ミステリ論,テレビゲーム論
論文等 共著に『幻想文学,近代の魔界へ』(青弓社,2006年),『ニアミステリのすすめ』(原書房,2008年)。論文に「九〇年代本格ミステリの延命策」(「ミステリーズ!」vol.3,2003年,第10回創元推理評論賞佳作),「〈日常〉の謎――加納朋子『ななつのこ』論」(『日本近代文学会北海道支部会報』第11号,2008年),「ねじれた推理――『かまいたちの夜×3』論」(『層―映像と表現』vol.3,2010年)など。

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