●目次
序 都市から世界へ――サンクト・ペテルブルグの歴史によせて………望月哲男
北方の旧首都 / 華麗な街 / 国際都市 / 役人の街 / テロリズムの街 / 貧しい街 / 不条
理な街 / 変わりゆく街 / 回路としての街 / サンクト・ペテルブルグから世界へ
第1部 都市の成り立ち/学術の歴史
ピョートル一世とサンクト・ペテルブルグの誕生………栗生沢猛夫
はじめに
1 イジョラの地――ネヴァ河流域地方
2 ピョートル・アレクセーエヴィチ
3 新都の建設
4 新首都建設と遷都の理由
5 新首都建設の結果――サンクト・ペテルブルグの光と影、結びにかえて
ライプニッツとロシア――ヨーロッパ史のなかのサンクト・ペテルブルグ科学アカデミー創設
………………橋本伸也
はじめに
1 科学革命の時代と知の世界の変容
2 ヨーロッパとロシア――初期近代から近代へ
3 ライプニッツの「普遍」構想とロシア
4 ロシアとの接触と科学アカデミー設立提案
おわりに
科学都市としてのサンクト・ペテルブルグ………梶 雅範
はじめに――ロシアにおける自然科学の導入と時代区分
1 科学アカデミーとサンクト・ペテルブルグ
2 大学とサンクト・ペテルブルグ高等教育の整備と専門学会
三世代のロシアの化学者たち / 第三世代の化学者メンデレーエフ / ロシア化学会の発展
3 転換期のサンクト・ペテルブルグの科学者たち
イパーチエフ――亡命した科学者 / ヴェルナツキー――祖国に残った科学者 / ガモフの
場合――新世代の物理学者
4 その後――科学アカデミー体制
革命の時代のペテルブルグ/ペトログラード………土屋好古
はじめに
1 ペテルブルグの近代化
人口 / 労働力 / 住環境
2 第一次世界大戦のインパクト
戦争と労働力の動員 / 原燃料問題 / 生産拡大 / 労働条件 / 食糧供給
3 革命のなかのペトログラード
革命と都市のトポス / 場の名前 / 革命と秩序
むすびにかえて
ペテルブルグの言語学――20世紀言語学への貢献………三谷惠子
はじめに
1 ペテルブルグの言語研究の主な流れ
ペテルブルグの学者たち / マールの遺産
2 ペテルブルグの音韻論
ペテルブルグ音韻学派 / シチェルバの音韻論 / モスクワ学派、プラハ学派との違い / 形
態音韻論との関係 / ロシア語の音素はいくつあるか
おわりに
第2部 都市のイメージ/文芸の歴史
ペテルブルグのエネルギー――文学はそれをどう捉えてきたか………郡 伸哉
1 狂気と光のあいだ
2 都市と人間
3 洪水のエネルギー
4 「スチヒーヤ」という言葉
5 人間を動かす力の諸相
6 ペテルブルグの原初性
7 「スチヒーヤ」の二面性
8 自己と世界のシンクロナイズ
9 光の変奏
10 最後に
ペテルブルグの芸術――美術都市と反コンセプチュアリズム………鈴木正美
1 ペテルブルグと情報
2 人工都市ペテルブルグの美術
3 エルミタージュ美術館と世界モデル
4 破壊と再創造の20世紀ロシア美術
5 「地方都市」レニングラードの美術
6 ロシア・アヴァンギャルドの継承
7 なぜペテルブルグにコンセプチュアリズムはなかったのか
さいごに
ナルキッソスの水に映る街――劇場都市ペテルブルグ………楯岡求美
はじめに
1 メディアとしての都市空間
2 語られるものとしての都市の歴史
3 「劇的」な都市、ペテルブルグ
4 仮面、そしてペテルブルグの演劇性
男性性と女性性 / 石と水 / 直線と迷宮
5 幻想のなかのペテルブルグ
6 ユートピアとしての都市ペテルブルグ(または記憶の創造と奪還)
7 ナルキッソスの水に映るペテルブルグ――ペテルブルグの位相
8 もうひとつのペテルブルグ――未来へのプロジェクト
過去と現在――ペテルブルグ文学のレトリック………望月哲男
はじめに
1 ペテルブルグ文学の表情
2 修辞的環境
3 ペテルブルグ・コンシャスな現代小説
ワシーリー・アクショーノフ『三つの外套と鼻』(1996) / ドミートリー・ゴルチェフ『カ
エル』(2002) / アンドレイ・リョーフキン『ロシア民話としてのドストエフスキー』
(2000) / オレーグ・ストリジャーク『少年』(1993) / ナタリヤ・ガルキナ『聖ペト
ロ群島』(1999) / レフ・グニン『ペテルブルグ』(2003?)
むすび
サンクト・ペテルブルグ関連歴史年表