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書籍詳細




毒魚の自然史 ― 毒の謎を追う
松浦啓一・長島裕二編著

判型: A5 並製
頁数: 330
ISBN: 978-4-8329-8221-5
Cコード: C3045
発行日:2015-03-25
定価: 3,300円 (本体価格3,000円+税)

在庫あり
カートに入れる:
●本書の特徴

 本書では、フグ毒はもちろんのこと、最近日本でも問題になっているシガテラやパリトキシンな
どの毒をもつ魚類、さらに、エイやミノカサゴのように棘や鰭に毒をもつ刺毒魚について、有毒魚
類の全容をやさしく解説する。

 「毒魚」は2つに大別される。1つは体内や皮膚に毒を有し、食べると中毒する魚類である。そ
の代表はフグであろう。また、南日本の浅海にはシガテラ毒やパリトキシン、そしてパリトキシン
様毒を体内にもつハタ類やブダイ類などの魚類が生息している。これらの魚類を食べて食中毒にか
かった例も少なくない。もう1つの「毒魚」は「刺毒魚」と呼ばれる。「刺毒魚」は毒棘を鰭にも
ち、脅威を感じると、毒棘から毒を外敵の体に注入して危機を脱する。「刺毒魚」の代表例はアカ
エイ、ゴンズイ、ミノカサゴなどである。本書では体内や皮膚に毒をもつ「毒魚」と「刺毒魚」の
両者を取り扱う。

 本書の第吃瑤蓮屮侫案任鬚發諜類」であり、「フグ類の分類と生態」と「フグ毒」の2つの章
から構成されている。「フグ類の分類と生態」の章では、狭義のフグ類、つまり、フグ科魚類の分
類学的特徴、分布や生態などを解説するとともに、広い意味のフグの仲間たち(カワハギやマンボ
ウなども含む)の分類や系統についても説明した。「フグ毒」の章では、フグ毒の単離と構造、性
状と作用、分布、蓄積、役割などを述べ、前述したように最近の興味深い知見を紹介している。
 第局瑤蓮屮轡テラ毒をもつ魚たち」であり、「シガテラ毒をもつ魚の分類と生態」と「シガテ
ラ毒」の2章から構成されている。「シガテラ毒をもつ魚たち」の章では、シガテラ毒をもつ魚た
ちの大半はサンゴ礁性魚類であることを述べ、かれらの生息域の特徴やどのような餌を食べている
かを紹介している。「シガテラ毒」の章では、シガテラ中毒の事例やシガテラの原因物質であるシ
ガトキシン特定の研究史を簡潔に紹介し、機器分析の進歩によってシガトキシンの成分分析が可能
となってきた様子を述べている。
 第敬瑤蓮屮僖螢肇シンもしくはパリトキシン様毒をもつ魚たち」であり、「パリトキシンもし
くはパリトキシン様毒をもつ魚たちの分類と生態」の章と毒に焦点を当てた「パリトキシン」と
「パリトキシン様毒」の3章から構成されている。最初の章では、パリトキシンをもつ魚たちがニ
シン目、スズキ目そしてフグ目という系統的に離れた3つのグループに分類され、これらの全魚種
は熱帯に分布している(温帯にも分布する種もいる)こと、そして、毒化と魚類の系統や生態には
関連が見られないことを示した。「パリトキシン」の章では、パリトキシンが魚類ばかりではなく、
甲殻類(オウギガニ科)やイソギンチャク類などさまざまな海洋生物に分布していることを述べ、
パリトキシンの化学構造や性状についても紹介している。パリトキシンは猛毒であるにもかかわら
ず、パリトキシン中毒が正確に断定できたケースは非常に少ない。このため残念なことに臨床徴候
や中毒症状とパリトキシン量の関係性は未だに明確になっていない。「パリトキシン様毒」の章で
は、アオブダイを中心として、ハコフグ、ウミスズメ、さらにはマハタ属やバングラデシュの淡水
フグによって引き起こされたいろいろな中毒事例を紹介し、アオブダイの毒化の研究を通じて、
Ostreopsis属渦鞭毛藻がパリトキシン中毒の「犯人」として特定されたことを述べている。したが
って、Ostreopsis属渦鞭毛藻が分布する海域では、ハコフグ、ウミスズメ、そしてマハタ属なども
毒化する可能性が高いといえよう。
 第孤瑤蓮巍に毒をもつ魚類」であり、「棘毒魚の分類と生態」と「魚類刺毒の刺毒の性状と化
学構造」の2章から構成されている。刺毒魚はエイ類、ゴンズイ類、カサゴ類そしてアイゴ類など
さまざまな分類群に見られる。「棘毒魚の分類と生態」の章の筆者は自らが「刺毒魚」に刺された
体験をもっており、さまざまな刺毒魚の分類や生態について興味深いエピソードを交えて紹介して
いる。「魚類刺毒の刺毒の性状と化学構造」の章では、さまざまな刺毒魚の「刺毒」の化学的性状
や構造を説明している。さらに、ゴンズイやハマギギ類は体表に粘液毒ももっており、棘によって
外敵に傷が生じると、刺毒のみではなく、粘液毒も外敵に作用することなど、刺毒魚にまつわる興
味深い事例を紹介している。
 本書は「毒魚」に関するさまざまな研究成果を取りまとめている。それぞれの部や章に関連はあ
るが、第吃瑤ら読み進めなくても理解できるようになっている。読者が興味をもった部や章から
読んでもよいであろう。
                                  (「はじめに」より)
●版元から

分類,生態,毒の本体まで全てを平易に解説
●目次

口  絵
はじめに


 第吃堯.侫案任鬚發諜類

第1章 フグ類の分類と生態………松浦啓一
 1.フグ類とはどんな魚か
 Box 1 フグ目魚類の種数
 2.フグのなかのフグ
    フグ科の特徴 / フグ類の分類の難しさ / フグ類の分類形質
 Box 2 東南アジアにおけるフグの分類とフグ中毒
 3.日本のフグ類
 4.フグ類の生態
    フグ類はどこにすんでいるか / フグ類の行動と産卵 / フグ類の身の守り方

第2章 フグ毒………長島裕二・荒川 修・佐藤 繁
 1.フグ毒の単離と構造
 2.テトロドトキシンの単離法
    津田・河村によるフグ毒の単離法 / 後藤・平田によるTTXの精製法 / 麻痺性貝毒精製法
    の応用 / テトロドトキシンの構造決定
 Box 1 核磁気共鳴(NMR)法
 Box 2 X線結晶解析
 3.フグ毒の性状と作用
    テトロドトキシンの化学的性状 / テトロドトキシン関連成分の多様性 / テトロドトキシ
    ンの薬理作用
 Box 3 フグの毒力表示であるマウスユニットとは
 4.フグ毒の分布
    フグ / フグ以外の魚類 / イモリ / カエル / タコ / カニ / カブトガニ / 巻貝 / ヒト
    デおよび底生動物 / フグ毒産生細菌
 5.フグ毒の蓄積
    フグの毒化経路 / トラフグにおけるフグ毒の体内動態 / 消化管におけるフグ毒の吸収 / 
    血液によるフグ毒の運搬 / 肝臓へのフグ毒の取り込み / フグの毒化メカニズム
 6.フグ毒の役割
 Box 4 免疫組織化学
    捕食動物に対する防御 / 餌生物に対する攻撃 / TTX保有動物のTTXに対する抵抗性 / 
    TTX保有動物に対するTTXの誘引効果 / そのほかの機能
 Box 5 脾臓細胞の幼若化反応
 7.フグ毒による食中毒
    フグによるTTX中毒 / 巻貝によるTTX中毒 / そのほかの動物によるTTX中毒 / 無毒養
    殖フグ肝臓の食用化
 8.フグ毒としての麻痺性貝毒
    麻痺性貝毒の化学的性状 / 麻痺性貝毒成分の多様性 / 麻痺性貝毒の成分変換 / 麻痺性
    貝毒の分布 / フグ科魚類の麻痺性貝毒


 第局堯.轡テラ毒をもつ魚類

第3章 シガテラ毒をもつ魚類の分類と生態………松浦啓一
 1.シガテラ毒魚と分類
 2.シガテラ毒魚の分布
 3.シガテラ毒魚の行動と食性

第4章 シガテラ毒………大城直雅
 1.食中毒
    生状況 / 事例紹介
 2.シガテラ毒の化学と産生生物
    シガテラ毒の化学 / シガテラ毒の産生生物 / シガテラ毒(CTXs)の分析法
 3.シガテラ毒の性状,作用
 4.シガテラ毒の分布
    原因魚種 / 魚の有毒率 / 海域によるCTXs組成の違い / 魚種によるCTXs組成の違い


 第敬堯.僖螢肇シンもしくはパリトキシン様毒をもつ魚類

第5章 パリトキシンまたはパリトキシン様毒をもつ魚類の分類と生態………松浦啓一
 1.パリトキシンまたはパリトキシン様毒をもつ魚類の分類
 2.パリトキシンまたはパリトキシン様毒をもつ魚類の分布
 3.パリトキシンまたはパリトキシン様毒をもつ魚類の行動と食性
 4.パリトキシンまたはパリトキシン様毒の由来

第6章 パリトキシン………高谷智裕
 1.食中毒
    オウギガニ科のカニによる食中毒 / クルペオトキシズム / ニシン科以外の魚による食中毒
 2.食中毒以外のパリトキシン中毒
    傷口からの侵入や皮膚吸収による中毒 / エアロゾル吸入による中毒 / イタリアで起こっ
    たOstreopsis ovataによる集団中
 Box 臨床検査
 3.パリトキシンの化学,性状,作用
    “Limu-make-o-Hana”の伝説 / パリトキシンの化学 / パリトキシンの性状 / パリトキ
    シンの作用機構 / パリトキシンの検出方法
 4.パリトキシンの分布
 5.パリトキシンの起源

第7章 パリトキシン様毒………谷山茂人
 1.食中毒
    事例21 / 事例22 / 事例24 / 事例25 / 事例27 / 事例32 / 事例 / 事例 / 事例
 Box 1 パリトキシン様毒中毒における臨床検査で測定される酵素活性の解説
 2.パリトキシン様毒の性状
    マウス毒性 / 生化学的性状 / 薬理作用 / 化学的性質 / 溶血活性 / 中毒検体の毒性 / 
    バングラデシュ産淡水フグの毒性
 Box 2 海洋性自然毒の毒力を表す単位
 Box 3 海洋性自然毒の化学分析で使われる用語解説
 3.パリトキシン様毒の分布  
    魚種間の分布 / 毒の体内分布と地理的分布 / アオブダイの毒の起源


 第孤堯】に毒をもつ魚類

第8章 刺毒魚の分類と生態………本村浩之
 1.深刻な刺毒被害例が多いエイの仲間
 2.海の毒ナマズ,ゴンズイとその近縁種
 3.悪魔,鬼,蜂,蠍,おどろおどろしい名前が多いカサゴの仲間
    メバル科 / シロカサゴ科 / ヒレナガカサゴ科 / ハチ科 / フサカサゴ科 / ハオコゼ科 / 
    オニオコゼ科 / ヒメキチジ科
 4.ウサギ魚(うお)?でも毒があるアイゴ

第9章 魚類刺毒の性状と化学構造………塩見一雄
 Box 魚類刺毒はとにかく不安定
 1.エイ類の刺毒
    毒エイと刺傷事故 / 刺毒に関する知見
 2.ゴンズイ類の刺毒
    ゴンズイの体表粘液毒 / ゴンズイの刺毒
 3.カサゴ目魚類の刺毒
    オニダルマオコゼ類の刺毒 / オニダルマオコゼ類以外のカサゴ目魚類の刺毒 / カサゴ目
    魚類のヒアルロニダーゼ
 4.アイゴ類の刺毒
    アイゴの毒 / アイゴの近縁種クロホシマンジュウダイの毒
 5.そのほかの刺毒魚
    Toadfish / Weeverfish


引用・参考文献
事項索引
和名・英名索引
学名索引


●著者紹介

松浦 啓一(マツウラ ケイイチ)
1948年生まれ
北海道大学大学院水産学研究科博士課程修了
国立科学博物館名誉研究員 水産学博士
『魚の自然史─水中の進化学』(宮正樹と共編著,北海道大学図書刊行会,1999),『動物分類学』(東京大学出版会,2009),『標本の世界─自然史標本の収集と管理((国立科学博物館叢書)』(編著,東海大学出版会,2010)など
第1章・3章・5章執筆

長島 裕二(ナガシマ ユウジ)
東京大学大学院農学系研究科博士課程中途退学
東京海洋大学大学院海洋科学系食品生産科学部門教授 農学博士
フグ研究とトラフグ生産技術の最前線(村田修・渡部終五と共編著,恒星社厚生閣,2012),新・海洋動物の毒─フグからイソギンチャクまで(塩見一雄と共著,成山堂書店,2013)など
第2章執筆

荒川 修(アラカワ オサム)
1960年生まれ
東京大学大学院農学系研究科博士課程修了
長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科教授 農学博士
第2章執筆

大城 直雅(オオシロ ナオマサ)
1969年生まれ
東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科博士課程修了
国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第二室室長 博士(海洋科学)
第4章執筆

佐藤 繁(サトウ シゲル)
1958年生まれ
東京大学大学院農学系研究科博士課程中途退学
北里大学海洋生命科学部教授 農学博士
第2章執筆

塩見 一雄(シオミ カズオ)
1947年生まれ
東京大学大学院農学系研究科博士課程修了
東京海洋大学名誉教授 農学博士
第9章執筆

高谷 智裕(タカタニ トモヒロ)
1970年生まれ
長崎大学大学院海洋生産科学研究科博士課程中途退学
長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科教授 博士(水産学)
第6章執筆

谷山 茂人(タニヤマ シゲト)
1974年生まれ
長崎大学大学院生産科学研究科博士課程修了
長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科准教授 博士(水産学)
第7章執筆

本村 浩之(モトムラ ヒロユキ)
1973年生まれ
鹿児島大学大学院連合農学研究科(宮崎大学配属)博士課程修了
鹿児島大学総合研究博物館教授 博士(農学)
第8章執筆

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