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書籍詳細




熱輻射実験と量子概念の誕生
小長谷 大介著

判型: A5 上製
頁数: 364
ISBN: 978-4-8329-8203-1
Cコード: C3042
発行日:2012-03-15
定価: 13,200円 (本体価格12,000円+税)

在庫あり
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●本書の特徴

19世紀末ドイツの熱輻射実験の展開を描出し,量子概念の誕生までを詳述。当時の実際的状況を明確に浮き上がらせ,科学史上のイベントを技術,産業,経済の諸活動や関連思想との幅広い学際的文脈へと導く。
●版元から

現代物理学を支える量子力学は原子核や電子などのミクロな物理現象を説明するのに不可欠な理論である。本書は,この量子力学の基礎となった量子概念の誕生と実験研究との関係を扱っている。量子概念は,1900年に理論物理学者マックス・プランクによって生み出されたが,理論家だけがその誕生に携わったのではない。その誕生は,熱輻射という赤外線領域を主体とする光を,精確に測定・実験できるようになったことの結果でもあった。本書は,広く知られてない19世紀末ドイツの熱輻射実験の展開を描出し,実験研究側からみた,量子概念の誕生までの物語を語っている。また,熱輻射実験の展開を考察する際に,実験機器に着目した分析も行っている。機器類への分析は,機器の改良・開発,装置の工夫を扱うゆえに当時の科学の置かれた実際的状況を明確に浮き上がらせ,科学史上のイベントを,技術,産業,経済などの諸活動や関連思想との幅広い学際的文脈へ導き,さらに,コンピュータの多用や巨大機器を必要とする現代科学のあり方を考える材料も与えている。欧米では実験機器の分析に基づく科学史研究が多数みられ,それらの研究書の一部が邦訳され刊行されているが,日本での研究は多くはない。科学史のビッグイベントである量子概念の誕生を事例にして,実験機器の分析を扱った本書の出版は,現代科学の特徴の一端を歴史的に理解するために極めて意義深い。
●目次

はじめに  
主要実験科学者の略歴 

序章 課題の設定
 1. 先行研究と本書の課題 
 2. 新しい科学史研究との調和 
 3. 重要な用語および概念の説明  
 4. 実験の「目的」,「機器」,「機器構成」,「実験プログラム」を分析する理由  
 5. 本書の構成  
注と文献  

第1章 19世紀末の熱輻射実験の前史とラングレーの研究の登場
 1. 1880年代以前の光と熱線の研究展開  
 2. 1880年代以前の光と熱線の測定手段  
 3. ラングレーによるボロメーター利用の方法の登場  
 4. ラングレーの測定結果と1880年代末の分布式  
 5. 熱輻射実験の背景(1)――電磁波の研究  
 6. 熱輻射実験の背景(2)――ヘルムホルツ学派の研究動向 
 7. 熱輻射実験の背景(3)――電気都市ベルリンとPTR設立  
 8. 小  括  
注と文献  

第2章 熱輻射分布測定に向けた新たな機器構成の登場――集約点としてのパッシェンの熱輻射実験
 1. ルンマーらのボロメーター開発  
 2. ヴィーンの白金-白金ロジウム合金熱電対の研究  
 3. ルーベンスのボロメーター製作 
 4. ルーベンスのボロメーターの応用と開発  
 5. ルーベンスのガルヴァノメーター開発  
 6. パッシェンのガルヴァノメーター開発  
 7. パッシェンの熱輻射分布測定の開始  
 8. 小  括  
注と文献  

第3章 熱輻射分布測定のための基礎研究の拡充――分散をめぐる新たな成果
 1. 分散をめぐるパッシェンの研究展開  
  1.1 輻射強度と温度の関係の研究  
  1.2 気体輻射の研究  
  1.3 分散式の研究  
 2. 分散をめぐるルーベンスの研究展開  
  2.1 ブリオ分散式の検証とラングレーの方法の採用 
  2.2 ケテラー分散式の検証と肯定 
 3. 小  括  
注と文献 

第4章 熱輻射分布法則の導出・検証における実験研究の交流
  1. パッシェンの熱輻射分布の実験研究  
   1.1 ヴィーン変位則への探究  
   1.2 ヴィーン変位則の提出  
   1.3 ヴィーン分布式の提出  
  2. ヴィーンとルンマーによる空洞輻射源の実施提案  
  3. ルーベンスらのラジオメーター開発と残留線研究  
   3.1 ラジオメーター開発  
   3.2 残留線の長波長研究  
  4. パッシェンによる固体輻射源と空洞輻射源の取り扱い 
   4.1 固体輻射源の実験  
   4.2 ルンマーらの空洞輻射源に対する評価  
  5. ルーベンスの長波長研究における実験機器・機器構成の模索と確立  
   5.1 残留線利用の方法の優位性  
   5.2 熱電対列の開発  
   5.3 脱プリズム機器構成の確立  
  6. ルンマーらの空洞輻射源の開発  
   6.1 空洞輻射源開発の初段階  
   6.2 空洞輻射源の確立  
  7. パッシェンの空洞輻射源の採用  
  8. ルンマーらによる空洞輻射の分布測定への導入  
  9. ルーベンスの分布法則検証への転機  
 10. ヴィーン法則の問題点  
 11. ルーベンスによる長波長領域の分布法則の検証  
 12. パッシェンの分布法則の有効範囲の定量化  
 13. パッシェン,ルンマー,ルーベンスらの1901年以降の研究  
 14. 小括(1)――三者の研究の方向性と機器構成  
 15. 小括(2)――三者の交流 
注と文献  

第5章 目的・機器・機器構成をめぐる動向と実験プログラムの相違と交流
 1. 熱輻射実験の「始動」・「準備」・「確立」期  
 2. 三方向の実験研究における「目的」の変遷  
  2.1 始動期における「目的」の動向  
  2.2 準備期における「目的」の動向  
  2.3 確立期における「目的」の動向  
  2.4 実験「目的」の動向  
 3. 三方向の実験研究における「機器」の選択・開発・研究 
  3.1 ボロメーター  
  3.2 ガルヴァノメーター  
  3.3 ラジオメーター,熱電対列  
  3.4 熱電対  
  3.5 分光系機器  
  3.6 固体輻射源,固体-空洞折衷型輻射源  
  3.7 空洞輻射源  
  3.8 「機器」の研究動向  
 4. 三方向の実験研究における「機器構成」の変遷  
  4.1 「輻射源-プリズム-ボロメーター」の基本構成の発展とその成果  
  4.2 「輻射源-反射物質-熱電対列」の基本構成に至る過程とその成果  
  4.3 「機器構成」の動向  
 5. 三方向の「実験プログラム」の相違と交流  
 6. 小  括  
注と文献 

第6章 実験研究の展開におけるプランク熱輻射論
 1. 熱力学研究から熱輻射研究への移行  
 2. 1899年5月論文における電磁的エントロピーの導入  
  2.1 共鳴子による熱輻射論  
  2.2 自然輻射の導入  
  2.3 電磁的エントロピーの導入  
  2.4 ヴィーン分布式の導出  
  2.5 1899年5月論文の特徴  
 3. エントロピー式の起源に関する先行研究  
  3.1 ローゼンフェルトらの見解  
  3.2 ダリゴルの見解 
  3.3 ダリゴルの見解の問題点  
 4. 1899年5月論文,1900年3月論文における逆算の方法  
  4.1 1900年3月論文のエントロピーSの導出の証明  
  4.2 エントロピーSの導出の検証  
  4.3 1899年5月論文の方法  
  4.4 1900年3月論文の役割とその結果  
 5. 1900年10月以降の論文の方法  
  5.1 1900年10月論文の新分布式  
  5.2 1900年12月論文の方法的示唆  
  5.3 1901年論文の熱輻射論  
  5.4 1901年論文の役割  
  5.5 1901年論文の方法  
 6. プランク熱輻射論の方法とその独自性  
  6.1 1899年5月論文の方法と1901年論文の方法  
  6.2 プランク熱輻射論の方法  
  6.3 理論科学者の輻射分布式を導く方法  
  6.4 実験科学者の輻射分布式を導く方法  
  6.5 プランクの方法――演繹-帰納,理論-実験の協調 
 7. 熱輻射実験の展開とプランク熱輻射論  
 8. 実験研究の展開からエネルギー量子誕生を考える  
 9. 小  括  
注と文献  

終章 結  論

引用・参考文献一覧  
索  引
●著者紹介

小長谷 大介(コナガヤ ダイスケ)
1970年 静岡県藤枝市に生まれる
2000年 東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了
2000〜2001年 国立東京工業高等専門学校専任講師・助教授
2002年 龍谷大学経営学部専任講師
2009年 東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了
2009〜2010年 ドイツ博物館附属科学史技術史研究所客員研究員
現 在 龍谷大学経営学部准教授 博士(学術,東京工業大学)
主論文 "Succcess from Different Programs: The Development of Experimental Researches on Thermal Radiation in Germany at the End of the 19th Century," Historia Scientiarum, Vol.20, No.2 (2010), pp.63-95.「1890年代の熱輻射分布法則導出におけるパッシェンの実験研究の先導的役割」『科学史研究』第45巻(No.240)(2006年),229-240頁."The Methodology of Planck's Radiation Theory," Historia Scientiarum, Vol.12, No.1 (2002), pp.43-58.など多数



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