●目次
はじめに
第一章 言誤学?――未知のコトバとの出会い………津曲敏郎
はじめに
1 コトバの誤解あれこれ
2 誤解から生まれたコトバ
3 異言語/異文化との出会い
4 コトバをどう捉えるか?
5 今、言語が危ない!?
第二章 「誤解」はなぜ楽しいか? ――物語における「誤解」から見える人間………村松正隆
はじめに――「誤解」は人の〈まこと〉を明らかにする
1 「誤解」と他の「間違い」は、何が違うのか?
2 フィクションにおける「誤解」はなぜ楽しいか?
3 人の「まこと」を明らかにするものとしての「誤解」
4 誤解と人間の実存――仁和寺の法師は何を誤解しているのか?
5 誤解と笑いと寛容と――なぜ私たちは寅さんを笑うのか?
第三章 誤解とカルト………櫻井義秀
1 誤解するのが当然
2 キャンパス内のカルト
3 生きる意味を求めて――オウム真理教元信者の誤解
4 誤解と人生
第四章 本格ミステリーにおける誤解と誤読………押野武志
はじめに――騙されることの快楽
1 本格ミステリーの歴史
2 戦後本格ミステリーの出発
3 叙述トリックの系譜
4 本格ミステリーの新展開
5 本格ミステリーの受難
おわりに――新たなリアリズムの誕生
第五章 名を正すこと――中国古典における誤解の分析と対策………近藤浩之
1 誤解の前に――そもそも人と人とは理解し合えるのか
2 誤解のない「名」づけ――実行できる発「言」
3 誤解のある「名」づけ
4 実行できない発「言」
5 誤解に対する対策とは
6 「名」づけることが誤解の始まり
第六章 漢字をめぐる誤解――「誤解」の創造性………松江 崇
1 語源の「誤解」
2 誤解による「訓」の誕生――「寅」はどうして「とら」と読むのか?
3 漢字の字形に関わる「誤解」
4 「誤解」によって創り出された文体の魅力――漢文訓読文
5 おわりに
第七章 近代における日本人の愛国心………白木沢旭児
はじめに――日本人の愛国心をめぐる誤解
1 戦後における諸外国の愛国心教育
2 終戦直後における国民の「愛国」意識
3 近代日本独特の愛国心のかたち
おわりに
第八章 ことばの行き違いと誤解――誤解をめぐる日本語の状況とことばの危機管理………加藤重広
1 ことばの研究から見る「誤解」
2 日本語を使う人々の意識
3 日本語の本質と見え方
4 正しい日本語という強迫観念
5 ことばの行き違いが始まるところ
6 ことばの危機管理
おわりに
おわりに
執筆者紹介
●著者紹介
松江 崇(マツエ タカシ)
1971年生、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単取得退学。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(中国文化論講座)。単著書『古漢語疑問賓語詞序変化機制研究』(好文出版、2010年)、共著書『漢語方言解釈地図』(岩田礼編、白帝社、2009年)、論文「漢代方言中的同言線束││也談根據《方言》的方言區劃論」(華學誠(匯證)王智群、謝榮娥、王彩琴(協力)『揚雄方言校釋匯證』1509―1533頁、中華書局、2006年)。
津曲 敏郎(ツマガリ トシロウ)
1951年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(北方文化論講座)。著書に『満洲語入門20講』(大学書林、2002年)、編著書に『北のことばフィールド・ノート││18の言語と文化』(北海道大学図書刊行会、2003年)、訳書に『ビキン川のほとりで││沿海州ウデヘ人の少年時代』(北海道大学図書刊行会、2001年)。
村松 正隆(ムラマツ マサタカ)
1972年生、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(倫理学講座)。著書に、『〈現われ〉とその秩序 メーヌ・ド・ビラン研究』(東信堂、2007年)、『哲学の歴史 6 知識・経験・啓蒙』(中央公論新社、2007年)(共著)。
櫻井 義秀(サクライ ヨシヒデ)
1961年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(社会システム科学講座)。近著に、『統一教会││日本の宣教戦略と韓日祝福』(北海道大学出版会、2010年)(中西尋子と共著)、『死者の結婚││祖先崇拝とシャーマニズム』(北海道大学出版会、2010年)、『越境する日韓宗教文化││韓国の日系新宗教 日本の韓流キリスト教』(北海道大学出版会、2011年)(李元範と共編著)。
押野 武志(オシノ タケシ)
1965年生、東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(映像・表現文化論講座)。単著に、『宮沢賢治の美学』(翰林書房、2000年)、『童貞としての宮沢賢治』(ちくま新書、2003年)、『文学の権能││漱石・賢治・安吾の系譜』(翰林書房、2009年)。
近藤 浩之(コンドウ ヒロユキ)
1966年生、東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(中国文化論講座)。主編訳に、『易學哲學史』(全四巻)(朋友書店、2009年)(朱伯崑原著、伊東倫厚監訳)。
白木沢 旭児(シラキザワ アサヒコ)
1959年生、京都大学大学院農学研究科退学、博士(経済学)。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(日本史学講座)。著書に、『大恐慌期日本の通商問題』(御茶の水書房、1999年)。
加藤 重広(カトウ シゲヒロ)
1964年生、東京大学大学院人文社会科学系研究科修了。博士(文学)。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(言語情報学講座)。著書に、『日本語修飾構造の語用論的研究』(ひつじ書房、2003年)、『日本語文法入門ハンドブック』(研究社、2006年)、『その言い方が人を怒らせる││ことばの危機管理術』(筑摩書房、2009年)。