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書籍詳細



北大文学研究科ライブラリ 6
誤解の世界 ― 楽しみ,学び,防ぐために
松江 崇編著

判型: 四六 並製
頁数: 326
ISBN: 978-4-8329-3380-4
Cコード: C1039
発行日:2012-04-16
定価: 2,592円 (本体価格2,400円+税)

在庫あり
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●本書の特徴

人の営みには「誤解」がつきもの! 誤解のない生活、どんな誤解も起こらない恋愛小説など味気ない! 悲しい誤解、あらぬ誤解から嬉しい誤解、笑える誤解まで、北大文学部の執筆者たちがわかりやすい例から「誤解」の諸相を紹介。鋭く深く「誤解」の本質に迫ります。
●版元から

人の営みには<誤解>がつきものです。人は誰しも、あらぬ誤解を受けて悩んだり傷ついたりした経験があるのではないでしょうか。ああ、この憎らしい誤解なんてものをなくすことができたらどんなにすばらしいことか、私たちはともすればこのように考えがちです。
 しかし、誤解があらゆる人の営みに関わってくるのだとすれば、それが私たちの生活の中で重要な役割を担っていることを示すものだとも言えそうです。改めて考えをめぐらせてみますと、<誤解>という言葉で表現されるものには、言葉による誤解、表情による誤解、イメージによる誤解、歴史認識の誤解、個人どうしの誤解、民族間の誤解、といった様々なものが含まれるようです。はたまた、うれしい誤解、幸せな誤解などといった、プラス面に働く誤解もあるではないでしょうか。さらには、誤解の全くない生活、どんな誤解も起こらない恋愛小説といったものなどは、機械的で味気ないもののようにさえ思えてきます。
 さて、もうここまできますと、誤解は人の営みのなかでどのような役割を担っているのか、誤解と理解とはどのように違うのか、そもそも誤解とは何か、といったように<誤解>そのものが興味深い考察の対象となって浮かび上がってくるのではないでしょうか。本書の趣旨は、それぞれの講師が専門知識を踏まえながら、この多様な<誤解>の諸相をご紹介していくところにあります。
 各講師の専門は、歴史学、文学、言語学、心理学、思想・哲学、といった様々な領域にわたります。これらの分野は、一見すると接点が少ないようですが、人の営みと関わっているという点では共通しています。それぞれの講師は、専門分野からみた<誤解>の諸相について、分かりやすい具体例を話題として提供します。近代における日本人の愛国心、未知の言葉との出会い、中国古典における誤解の分析と対策、思い違いと記憶の誤り、誤解は「誤解」されているか、ミステリにおける誤解と誤読、表情判断の誤解と文化差、日本語におけることばの行き違い、永遠に解けない誤解はあるのか、などについてお話しいたします。
 本書を通じて、人の営みにおける<誤解>の諸相について、より深い理解――誤解?――が得られるようになれば、これに勝る喜びはありません。

*『信濃毎日新聞』2012年6月10日書評掲載
*『北海道新聞』2012年7月1日書評掲載
*『毎日新聞』【北海道版】2012年4月27日書評掲載
●目次

はじめに
第一章 言誤学?――未知のコトバとの出会い…津曲敏郎
はじめに  
一 コトバの誤解あれこれ 
二 誤解から生まれたコトバ  
三 異言語/異文化との出会い  
四 コトバをどう捉えるか?  
五 今、言語が危ない!?  

第二章 「誤解」はなぜ楽しいか?…村松正隆
――物語における「誤解」から見える人間
はじめに――「誤解」は人の〈まこと〉を明らかにする  
一 「誤解」と他の「間違い」は、何が違うのか?  
二 フィクションにおける「誤解」はなぜ楽しいか?  
三 人の「まこと」を明らかにするものとしての「誤解」 
四 誤解と人間の実存――仁和寺の法師は何を誤解しているのか?  
五 誤解と笑いと寛容と――なぜ私たちは寅さんを笑うのか?  

第三章 誤解とカルト…櫻井義秀
一 誤解するのが当然  
二 キャンパス内のカルト  
三 生きる意味を求めて――オウム真理教元信者の誤解  
四 誤解と人生  

第四章 本格ミステリーにおける誤解と誤読…押野武志
はじめに――騙されることの快楽  
一 本格ミステリーの歴史  
二 戦後本格ミステリーの出発  
三 叙述トリックの系譜  
四 本格ミステリーの新展開  
五 本格ミステリーの受難  
おわりに――新たなリアリズムの誕生  

第五章 名を正すこと――中国古典における誤解の分析と対策…近藤浩之
一 誤解の前に――そもそも人と人とは理解し合えるのか  
二 誤解のない「名」づけ――実行できる発「言」  
三 誤解のある「名」づけ  
四 実行できない発「言」  
五 誤解に対する対策とは  
六 「名」づけることが誤解の始まり  

第六章 漢字をめぐる誤解――「誤解」の創造性…松 江  崇
一 語源の「誤解」  
二 誤解による「訓」の誕生――「寅」はどうして「とら」と読むのか?  
三 漢字の字形に関わる「誤解」  
四 「誤解」によって創り出された文体の魅力――漢文訓読文  
五 おわりに  

第七章 近代における日本人の愛国心…白木沢旭児
はじめに――日本人の愛国心をめぐる誤解  
一 戦後における諸外国の愛国心教育  
二 終戦直後における国民の「愛国」意識  
三 近代日本独特の愛国心のかたち 
おわりに  

第八章 ことばの行き違いと誤解…加藤重広
――誤解をめぐる日本語の状況とことばの危機管理
一 ことばの研究から見る「誤解」  
二 日本語を使う人々の意識  
三 日本語の本質と見え方  
四 正しい日本語という強迫観念  
五 ことばの行き違いが始まるところ 
六 ことばの危機管理  
おわりに  

おわりに  
執筆者紹介  

●著者紹介

松江 崇(マツエ タカシ)
1971年生、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単取得退学。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(中国文化論講座)。単著書『古漢語疑問賓語詞序変化機制研究』(好文出版、2010年)、共著書『漢語方言解釈地図』(岩田礼編、白帝社、2009年)、論文「漢代方言中的同言線束││也談根據《方言》的方言區劃論」(華學誠(匯證)王智群、謝榮娥、王彩琴(協力)『揚雄方言校釋匯證』1509―1533頁、中華書局、2006年)。

津曲 敏郎(ツマガリ トシロウ)
1951年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(北方文化論講座)。著書に『満洲語入門20講』(大学書林、2002年)、編著書に『北のことばフィールド・ノート││18の言語と文化』(北海道大学図書刊行会、2003年)、訳書に『ビキン川のほとりで││沿海州ウデヘ人の少年時代』(北海道大学図書刊行会、2001年)。

村松 正隆(ムラマツ マサタカ)
1972年生、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(倫理学講座)。著書に、『〈現われ〉とその秩序 メーヌ・ド・ビラン研究』(東信堂、2007年)、『哲学の歴史 6 知識・経験・啓蒙』(中央公論新社、2007年)(共著)。

櫻井 義秀(サクライ ヨシヒデ)
1961年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(社会システム科学講座)。近著に、『統一教会││日本の宣教戦略と韓日祝福』(北海道大学出版会、2010年)(中西尋子と共著)、『死者の結婚││祖先崇拝とシャーマニズム』(北海道大学出版会、2010年)、『越境する日韓宗教文化││韓国の日系新宗教 日本の韓流キリスト教』(北海道大学出版会、2011年)(李元範と共編著)。

押野 武志(オシノ タケシ)
1965年生、東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(映像・表現文化論講座)。単著に、『宮沢賢治の美学』(翰林書房、2000年)、『童貞としての宮沢賢治』(ちくま新書、2003年)、『文学の権能││漱石・賢治・安吾の系譜』(翰林書房、2009年)。

近藤 浩之(コンドウ ヒロユキ)
1966年生、東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(中国文化論講座)。主編訳に、『易學哲學史』(全四巻)(朋友書店、2009年)(朱伯崑原著、伊東倫厚監訳)。

白木沢 旭児(シラキザワ アサヒコ)
1959年生、京都大学大学院農学研究科退学、博士(経済学)。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(日本史学講座)。著書に、『大恐慌期日本の通商問題』(御茶の水書房、1999年)。

加藤 重広(カトウ シゲヒロ)
1964年生、東京大学大学院人文社会科学系研究科修了。博士(文学)。現在、北海道大学大学院文学研究科教授(言語情報学講座)。著書に、『日本語修飾構造の語用論的研究』(ひつじ書房、2003年)、『日本語文法入門ハンドブック』(研究社、2006年)、『その言い方が人を怒らせる││ことばの危機管理術』(筑摩書房、2009年)。



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