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書籍詳細




日本の危機言語 ― 言語・方言の多様性と独自性
呉人 惠 編

判型: A5 並製
頁数: 330
ISBN: 978-4-8329-6747-2
Cコード: C3081
発行日:2011-06-25
定価: 3,520円 (本体価格3,200円+税)

在庫あり
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●本書の特徴

本語(標準語)は世界で第8位の話者数を誇る大言語であり,国語として認定される「安泰な」言語である。しかし,日本にあるのは,標準語だけでも,日本語だけでもない。北にはアイヌ語という日本語とは系統を異にする言語があり,南には琉球語という日本語と系統を同じくする唯一の言語がある。さらに,方言というレベルでいうならば,日本には北海道から九州まで多様な本土方言が分布している。日本語の方言は,東日本方言,西日本方言,八丈方言,九州方言に大分類され,さらにこれらの方言はきわめて多くの下位方言に細分される。方言分類は日本語に限ったことではない。アイヌ語,琉球語にも方言があるが,とりわけ琉球語は,集落ごとに異なる方言をもつというその方言分岐の高さが際立っている。しかしその一方で,これらの言語・方言は急速に衰退の方向に向かっている。折しも,2009年2月19日,ユネスコは世界で約2,500の言語が消滅の危機にさらされているとの調査結果を発表し,日本では,アイヌ語をきわめて「深刻な状態にある」言語と指定したほか,沖縄県の八重山語,与那国語を「重大な危険にある」言語に,沖縄語,国頭(くにがみ)語,宮古語,鹿児島県・奄美諸島の奄美語,東京都・八丈島などの八丈語を「危険」な言語と分類し,計8語を危機言語のリストに加えた。本書では,こうした日本の言語・方言の多様性とその変容,そして消滅の危機の現状を紹介・解説する。
●版元から

*『北海道新聞』2011年8月21日書評掲載
●目次

はじめに


 第吃堯‘本の言語状況

日本の言語状況………佐々木 冠
 1.日本国内の八つの危機言語
 2.新たに生じつつある多様性
 3.危機に瀕した言語を記録することの意義
 引用・参考文献


 第局堯‘伴性と現状

第1章 アイヌ語の研究………佐藤知己
 1.はじめに
 2.アイヌ語と私
 3.アイヌ語の「魔力」
 4.アイヌ語の研究を始めたころ
 5.アイヌ語の古文書の研究
 6.アイヌ語の実地調査について
 7.実地調査に基づいて論文を書く
 8.実地調査研究の意義と白沢さんとの別れ
 9.おむつとおつむ――大切なのは調査の後
 10.おわりに――アイヌ語研究の今後
 引用・参考文献

第2章 北海道方言――様々な本土方言の融合体………菅 泰雄
 1.北海道方言の形成事情
    北海道の歴史と海岸方言・内陸方言 / 北海道方言研究の流れ
 2.移住と方言――徳島方言話者の例
    静内町・本別町と徳島方言 / 静内の親子二代のことば / 地域社会の共同体と方言
 3.伝統的方言の消失と新方言
    方言カルタの俚言 / 北海道の新方言 / 新たな「方言の実験室」
 引用・参考文献

第3章 秋田方言――多様性を内包する「仮想方言」のダイナミクス………日高水穂
 1.「方言」への根源的な問い
 2.「秋田方言」の実体化 
 3.「秋田方言」の位置付け
 4.「秋田方言」の継承の現状 
 5.「秋田弁危機」のメディア言説
 6.「地域性のインデックス」としての方言
    方言の社会的位置付けの変遷 / 「ふるさと資源」としての方言 / B級グルメと方言
 7.「方言」の現代的な価値
 引用・参考文献
 日本海グロットグラム

第4章 水海道方言――標準語に近いのに遠い方言………佐々木 冠
 1.はじめに
 2.形態統語論上の特徴――類型的有標性と無標性
    三つの連体修飾格 / 斜格主語固有の格形式 / 標準語よりも「普通」のパターン
 3.音韻的不透明性
    関東的な音素目録と東北的な音韻プロセス / 連濁,無声化,p→h,持続性の中和の不透明
    な相互作用の結果としての硬化 / 順列主義の部分的導入以外に解決策はなし / 二つのレ
    ベルの存在の背後にあるもの
 4.若年層における伝統方言の継承
 5.まとめ
 引用・参考文献

第5章 滅びゆく言語「東京弁」………秋永一枝
 1.東京弁とは何か?
 2.滅びつつあることば
 3.衰退する訛り,衰退しない訛り
 4.東京弁アクセントの減少
 5.おわりに
 引用・参考文献

第6章 八丈方言――古代東国方言のなごり………金田章宏
 1.はじめに
    基本データ / 概要など
 2.東国方言と関わる諸現象
    形容詞のエ段連体形 / 動詞のオ段連体形 / 動詞のノマロ形 / 推量のナモ / 語彙につい
    て / その他の古風な文法現象 / 独自の文法現象
 3.今後の展望など
 引用・参考文献

第7章 愛媛県宇和島方言の時間の捉え方――標準語の文法を相対化する視点………工藤真由美
 1.方言に体系的な文法はあるか
 2.方言から標準語の文法を考えるとどうなるか
 3.宇和島方言は英語とどのような共通性があるか
 4.整然とした方言アスペクトはどう形成されているか
 5.宇和島方言の動詞はどのようにグループ化されているか
 6.動的な出来事を特徴付ける時間的な性質とは何か
 7.方言の文法は何を提起するか
 引用・参考文献

第8章 鹿児島方言――南端の難解な方言………木部暢子
 1.鹿児島方言の難解さ
 2.聞き取りにくさの実態
    母音が短くなる / 音が詰まる
 3.いつごろから聞き取りにくくなったのか
    ロシアにある薩摩語の資料 / 18世紀初頭の薩摩語の状況
 4.離島の方言
 5.これからの鹿児島方言
 引用・参考文献

第9章 琉球語――「シマ」ごとに異なる方言………西岡 敏
 1.琉球語とは何か
    シマクトゥバ(島言葉) / 琉球語の音声的特徴 / 北琉球方言群 / 南琉球方言群 / 首里
    方言における助詞「に」の表現法
 2.古代日本語とのつながり
 3.琉球語の危機 
 4.琉球語の再活性化運動
 引用・参考文献


 第敬堯”現犖譴ら見る日本語の方言研究

標準語から見る日本語の方言研究………加藤重広
 1.はじめに
 2.正しい日本語としての標準語
 3.標準語の重力と言語研究
 4.二重ヲ格制約の本質
 5.状態性述語のテイル化
 6.内的対照と見えにくい危機
 引用・参考文献


 第孤堯\こΔら見た日本語の多様性

世界から見た日本語の多様性………角田太作
 1.はじめに
 2.日本語の共通語
    日本語の共通語(1):普通の言語である側面 / 日本語の共通語(2):珍しい言語である側面
 3.日本語の方言と琉球語の方言
    日本語の水海道方言(茨城県) / 琉球語の波照間方言
 4.言語再活性化運動
 5.何を記録すべきか?
 引用・参考文献


付録CDについて
 アイヌ語(佐藤知己)
 北海道方言(菅 泰雄)
 秋田方言(日高水穂)
 水海道方言(佐々木 冠)
 東京弁(秋永一枝)
 八丈方言(金田章宏)
 鹿児島方言(木部暢子)
 琉球語(西岡 敏)

索引


●著者紹介

呉人 惠 (クレビト メグミ)
1957年に山梨県甲府市に生まれる。東京外国語大学大学院外国語学研究科アジア第一言語専攻(修士課程)修了,北海道大学文学部助手,富山大学人文学部助教授をへて,現在,富山大学人文学部教授 博士(文学)(北海道大学)

秋永 一枝(アキナガ カズエ)

加藤 重広(カトウ シゲヒロ)

金田 章宏(カネダ アキヒロ)

木部 暢子(キベ ノブコ)

工藤 真由美(クドウ マユミ)

佐々木 冠(ササキ カン)

佐藤 知己(サトウ トモミ)

菅 泰雄(スガ ヤスオ)

角田 太作(ツノダ タサク)

西岡 敏(ニシオカ サトシ)

日高 水穂(ヒダカ ミズホ)

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